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2022-07-28

10.『夜のアボカド』歌詞と解説

 

「夜のアボカド」

満員電車に 揺られて通った
会社という名の交流照明
白い光に包まれて走った

夜の公園に ひとり歩けば
アボカドがひとつ 降って来て
僕のガラスのハートに落ちた

焼きバナナの屋台のラッパが聞こえて来て
まだまだ終わらない 一日が流れてく
使い残した時間を 僕はただ見送ってる
時間旅行の列車が 今静かに止まった

メビウス ハイウェー
タワマン ステーション
都会という名の 螺旋階段
昇ったつもりで いつの間に降りてた

夜の公園に ひとり眠れば
アボカドがひとつ 降って来て
僕のガラスの夢に落ちた

焼きバナナの屋台のラッパが遠ざかって行く
終わりそうで終わらない 一日が駈け出した
使い残した時間が 夜の霧に溶けていく
時間旅行の列車が 今静かに止まった

 

メビウス…メビウスの輪とも帯とも呼ばれる。メビウスの輪とは、長方形の紙を180度ひねって、端と端をくっつけたものです。紙の表をなぞっていくと裏につながったり、裏をなぞっていくと表になったりと、表と裏が同時に存在しているという不思議な特徴があります。その特徴と形からして、無限(∞)を表すものとしてよく例えられます。
焼きバナナの屋台…アボカドの主産地であるメキシコの食文化。日没後ラッパを鳴らして焼きバナナの屋台が街を流します。焼きバナナで用いるバナナに甘味はなく、その代わりに甘味料をたっぷり付けたものがふるまわれます。しかし、だからといってこの歌の舞台がメキシコを特定しているわけではありません。
この作品でアコーディオンを演奏しているのは地元千葉県を中心に幅広く音楽活動をしている渡邉ヒロ子さんです。彼女のアコーディオンのおかげで作品世界の夜が一段と深いものに感じられるようになりました。

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